イベントプログラムの内容のご紹介です。
12/5(月) 「奈良では」の地紅茶研究発表会 奈良県北部農林振興事務所
「やまとみどりについて」
‘やまとみどり’は、1924年(大正13年)に奈良県農事試験場茶業分場(現大和茶研究センター)が奈良県山辺郡山添村、福井勘次郎氏の茶園から採取した実生樹から育成されました。そして、茶の農林登録制度が始まった1953年(昭和28年)に‘やぶきた’などとともに茶農林10号として品種登録されました。本種は現在でも奈良県で唯一の登録品種となっています。
‘やまとみどり’ は耐寒性、耐病虫性に優れる極晩生種であり、品質は外観濃緑で香気比較的高く、滋味濃厚と言われています。極晩生であることから晩霜害の常襲地帯を中心に植栽されましたが、その生産性の低さから現在は県内でもほとんど栽培されていません。わずかに植栽されているものについても、生葉や荒茶の段階で他品種とブレンドされてしまい本種が単品で取引されることはほとんどありません。
本種はこのまま放っておけば、遠からず奈良県内から消滅するかもしれません。しかし、奈良県唯一の育成品種であり奈良県を連想させる品種名であることから、直売など販売チャネルが多様化した現在においては活かせる場面も出てくるのではないかと考えます。そこで、本種を改めて再評価する取組みを始めました。今回はこのことについて、少しお話したいと思います。
2016.9.16
宮本大輔(みやもとだいすけ)
プロフィール
1990年奈良県採用。主に茶関係の農業改良普及、研究業務に従事。現在は
奈良県北部農林振興事務所 農産物ブランド推進第二係長。