奈良の紅茶つくりびと
お茶の福光園
(福井周一さん)
特別でなく、日常的に飲んで貰える、大和のオーガニック紅茶!!
陽が落ち、夕焼けが山の端を染め残す頃に、都祁の旧家、お茶の福光園さんに
福井周一さんを訪ねました。周一さんとは、何度かお会いしたことはあるとはいえ、
直接しっかりお話を聞くのは初めてでした。
まるで横溝正史の映画に出てきそうな、立派な高麗門をくぐると、
おおらかな笑顔で迎えて下さった周一さん、福井家の15代目です。
茶業は4代前から、無農薬栽培はお父さんが始められたそうで、周一さんで有機JASの認証を取得。
福井家は茶業を始められる前は、冬場の極寒の環境を利用し、天然の高野豆腐づくりも
手がけていたそうです。その名残で大きな冷蔵施設があるそうです。
茶畑がある大和高原は標高500メートルと高い為、遅霜の被害も受けやすく、
茶葉もゆっくりと育つ環境です。標高の高さは昼夜の寒暖差を生み、霧も発生しやすくなり、
太陽光を遮り、柔らかな茶葉は、自然と旨みの増した、香りの高いお茶に育ちます。
大和高原地域で農薬・化学肥料を使っていない生産者7名で結成したグループ『YMO』は
周一さんが名付け親。『大和 モーレツ オーガニック』、行動力と閃き、アイデアを沢山持った方です。
大和の高原紅茶 緑茶品種「さやまかおり」リーフ
5月下旬(今年は23日)のファースト、先端のミル目の部分だけを刈り取り、『YMO』仲間で
平成21年設立の有機農家の組織「やまと有機茶の会」をともに立ち上げた
月ヶ瀬健康茶園(岩田さん)の所で、紅茶へと製茶しています。『YMO』仲間の
紅茶にした「さやまかおり」の華やかな香りがとても好きだと、周一さんは語ります。
無農薬で育てた茶葉の水色は、澄んだやさしい赤色です。
この夏、その周一さんの紅茶の香りと味わいに、惚れ込んだ、酒類卸「泉屋」の社長さんが
開発を手掛けた『奈良・大和高原の地紅茶リキュール「わらしべの想い」』が誕生しました。
奈良県桜井市の今西酒造さんの、やや辛口の上撰酒とコラボした地紅茶リキュールは、
アルコール度数は10度。ほんのり甘く仕上げたリキュールなので、
ロック又は 6:4の牛乳割りがお薦めです。
番茶文化の強い関西圏ですが、奈良大和茶のオーガニックの地紅茶を広げて行き、
地元の方に、特別でなく、日常的に飲んで貰える紅茶を目指して行きたいと、
最後に周一さんは語ってくださいました。
2016.11.13
地紅茶サミット世話人会
紅茶研究家 高橋彰子
【茶園情報】
福光園
〒632-0221 奈良市都祁白石町198番地
電話: 0743-82-0027
メール fukkouen@nara-i.net