奈良の紅茶つくりびと
竹西農園 遊茶庵
(竹西長士さん 多香子さん)
無口な方と思っていた長士さんが、語った「さやまかおり」の香気!! そして「金魚鉢の家」?
8月末と11月初めの週末、嫌な顔一つせず、朝早くから陽が落ちて真っ暗な時間まで、
今回の産地訪問に全面協力して、支えて下さった竹西長士さん、多佳子さんご夫妻。
奈良の自然の中で個性が光たくさんのお茶、それを育む人々(奈良の紅茶つくりびと)を、
竹西家の幅広いネットワークで繋いでご紹介くださいました。
奈良市中之庄町、田原の里と呼ばれる長閑な地に、ご近所から「金魚鉢の家」と呼ばれる
竹西農園さんの。農家レストラン「遊茶庵(ゆうちゃあん)」さんがあります。何故に金魚鉢?
それは夜間に「遊茶庵」を訪れた方だけが知る、ヒ・ミ・ツ ?。
長士さんは江戸時代から続く竹西家の5代目。若い頃は750CCにまたがり、ひと月掛けて
キャンプ(野宿も)しながら北海道を一周するようなアウトドア派だったそうです。
大阪でアパレル会社のパタンナーの仕事をされていた多佳子さんも、趣味はバイクツーリング。
二人共通の趣味がきっかけになり、多佳子さんは都会生活から、長閑な景色が広がる
お茶とお米作りの農家「竹西農園」のお嫁さんになりました。
茶畑と茶山が点在している竹西家には、長士さんが生まれた時には既に、
樹齢が130年程も経過した、地元の村史にも書き記されている、最長齢の在来種の茶畑があります。
昔は大きく仕立てて茶摘みをしていたそうですが、今は短く整枝され、
「大和古樹」と名付けられて大活躍しています。
1995年から「一切の農薬・除草剤を使用しないEM自然農法」に切り替えた長士さんは、
さまざまにチャレンジを繰り返し、良質な土壌作りに力を注いできたそうです。
機械が好きで、工夫が好き。これは良いと思ったら即、行動してみるのが長士さん。
でも、圃場に竹チップを敷き詰め過ぎて、発生した熱で幼木を枯らして仕舞ったり、
10年程前には「やぶきた」で紅茶を作ってみたものの、香りに納得いかず、がっかりもしたそうです。
自然農法 大和紅茶 緑茶品種「さやまかおり、やまとみどり、おくみどり、大和古樹」リーフがあります。
「竹西農園」の紅茶は、無農薬有機栽培の茶葉を使用したリーフティーです。
それを育んでいる茶畑も案内してもらいました。今も現役の、もうすぐ200年を数える、
「大和古樹在来」の茶畑を始め、大和高原を茜色に染めながら落ちて行く夕日が絶景の茶畑。
この急斜面を乗用で下るのかと思うと、思わず後ずさりしたくなる縦畝の茶畑などです。
「竹西農園」の製茶械は三連型の粗揉機タイプで、揉捻を行う機械が存在しないのだとか。
萎凋後の揉捻も大事な紅茶は、摘採した茶葉をやまと有機茶の会の仲間の
月ヶ瀬健康茶園さんへ運び、紅茶加工してもらっているそうです。
多香子さんが淹れてくれた『さやまかおり』の紅茶を飲みながら長士さんは、
「やっぱり『さやまかおり』は紅茶にすると良い香だなぁ」と何度も。
ついつい時間を忘れて、長士さんの話に引き込まれ、美味しいお茶と
遊茶庵さんの心地よい空間に魅せられました。
また今度、次は薪ストーブが赤々と燃える、冬の季節にお邪魔して、
多佳子さんのお料理や、スイーツなどもゆっくり体験したいなぁと思う
素敵な金魚鉢の家でした。
※金魚鉢の家 遊茶庵さんは三方が解放的で大きなガラス張りになっています。
明かりを灯した状態の夜間は、キラキラ光る金魚鉢のように
田原の里の暗闇にまぶしく浮かび上がります。
2016.11.28
地紅茶サミット世話人会
紅茶研究家 高橋彰子
[茶園情報]について
竹西農園
〒630-2163 奈良県奈良市中之庄町458
TEL: 0742-81-0383
住所:奈良県奈良市中之庄町458
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