奈良の紅茶つくりびと
月ヶ瀬健康茶園
(岩田 文明さん ルナさん)
「やぶきた」を活かした紅茶づくり。お茶が本来持っている力を引き出す!!
Photos : Kenichiro Yamaguchi
私が月ヶ瀬を初めて訪れたのは2年前の夏。月ヶ瀬健康茶園に岩田文明さん、ルナさんを訪ね
奈良での地紅茶サミット開催の可能性を確認するためでした。月ヶ瀬駅から文明さんの案内で、
テーマパークのような茶畑や茶山のあちこちを見学させてもらい、ジェットコースター並み?の
スリルを茶畑のあぜ道で味わったこと、今でも愉しく覚えています。
大学卒業後、会社員時代に訪れたイギリスで、文明さんは、すうーっと極自然に喉を通っていく
のど越しの良い紅茶を飲んで、大きな衝撃を受けたそうです。
2001年から家業の茶農家として就農した文明さんは、友人に言われた「お茶農家なのに、
なぜ紅茶は作らないの?」との言葉と、衝撃を受けたあの紅茶の味を記憶に残して、
月ヶ瀬で無農薬、有機栽培の紅茶をつくるチャレンジを始めました。
トコトン研究熱心な文明さんは、元々の茶樹を活かしながらも、新たに紅茶品種を集めて植えたり、
お茶が、お茶の木らしく力強く育ち、本来の力を発揮するお茶となるように、
自然を生かした栽培方法を考え実行してきました。
点在する茶山や茶畑にそれぞれ名前があり、その土地の地質や風の渡り具合、陽の差し具合まで
考慮し、育て、製茶しています。
里山の道路の「落ち葉清掃」という名のもとに行っている『落ち葉回収』も、
「完全な made in 奈良、月ヶ瀬の茶葉」を育てるのに必要不可欠な、
茶畑の栄養元確保、その素晴らしい戦術だったりもするのです。
自然栽培 紅茶
緑茶品種「やぶきた」「やまとみどり」
紅茶品種「べにひかり」「べにほまれ」などリーフ
月ヶ瀬健康茶園では、緑茶品種の「やぶきた」「さやまかおり」をはじめ、
新たに増やした紅茶品種「べにひかり」「べにほまれ」など、多くの品種で紅茶を作っています。
文明さんは、今すべきこととして、緑茶品種の「やぶきた」を活かした紅茶づくり
これからすべきことで、新たに植え、増やして来た紅茶品種での紅茶づくりと、
「やまとみどり」という、奈良の地で昔から作られて来た、この地に一番合う品種の育成を語ってくれました。
収穫した茶葉をあれこれいじくりまわして紅茶をつくるのではなく、
茶葉が本来持っている、(育った環境の中で蓄えて来た)力をうまく導いて、引き出してやることが大事だと。
そして、それが月ヶ瀬健康茶園の 自然栽培 紅茶なのです。
文明さんがイギリスで飲まれたという紅茶が、どんな紅茶だったのかは私には想像できません。
でも文明さんの作られた紅茶を一口飲むと、すうーっとのどの奥まで
心地よく紅茶が流れて行きます。そのあと一呼吸すると、優しい香りがふわぁっと戻ってきます。
雑味がなく繊細な味、今、文明さんが全力で出せる自然栽培の紅茶を
ゆっくり、じっくり味わってみてください。
2016.11.29
地紅茶サミット世話人会
紅茶研究家 高橋彰子
[茶園情報]について
月ヶ瀬健康茶園
奈良市月ヶ瀬尾山1965
メール:info@tukicha.com ホームページ:www.tukicha.com
電話:0743-92-0739 ファックス:0743-92-0737